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新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に引下げになり、社内外での飲み会や取引先との接待も再開しはじめているのではないでしょうか。
飲食を伴う企業活動は多々ありますが、
すべて交際費に該当するのでしょうか。
【交際費のおさらい】
以前のコラムでも紹介しましたが、交際費とは
交際費、接待費、機密費、その他の費用で、法人が、その得意先、仕入れ先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為の為に支出するものをいいます。
交際費は原則損金不算入(法人の規模によって損金算入の限度額があります)ですので、注意が必要です。(詳しくは コラム「交際費について」)
https://www.oag-tokyowest.com/information/20220901_koramu.html
交際費に該当するかどうかは以下が重要となります。
① 事業に関係あるものに対する支出であること
② 接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する支出であること
③ 支出の目的が、事業関係者等との親睦を密にして取引関係の円滑な親交を図ること
【福利厚生費との区分】
交際費と判断を迷うものに福利厚生費がありますが、
専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用は交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。
交際費は、取引先等事業に関係ある他社に対して行う接待や供応であるのに対し、福利厚生費は自社内の従業員に対する制度・設備と言えます。
・社内行事・式典などに際し、従業員におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要す
る費用
・従業員等の慶弔・禍福に際し、一定の基準に従って支給される金品
などは福利厚生費ですので、
・従業員の慰労等を目的に支出した費用であること ・機会が平等であること ・金額が妥当であること |
が重要となります。
社内の打ち上げ・暑気払い・忘年会などの飲み会などは福利厚生費にあたります。ただし、役員のみ又は一部従業員のみを対象とした場合は交際費となり、更に金額が社会通念上妥当でない場合は給与として課税されることがありますのでご注意ください。
【従業員に支給する食事】
会社が役員や従業員の昼食を支給した場合はどうでしょうか。
常時給与される昼食等の費用は交際費に含まれないものとされており(租税特別措置法関係通達 61の4(1)-12)、以下の点を満たしていれば福利厚生費として計上が可能です。
① 役員や従業員が食事の価格の半分以上を負担していること
② 会社負担額が1人当たり3,500円/月(税抜)
会社が一旦全額支払い、役員・従業員から本人負担分を徴収する必要があることに注意が必要です。
これらの要件を満たさず、全額会社が負担した場合や、会社の負担額が月3,500円を超える場合は、昼食代から役員・従業員の負担額を差し引いた金額が給与として課税されます。
従業員が残業または宿日直を行う時に支給する食事については福利厚生費として計上することができますが、飲酒を含めると交際費として判断される場合があります。
【会議費との区分】
会議を行いながら食事をした場合は会議費で計上します。
会議費は「社内外にかかわらず、会社の経営や業務に関して行われる会議や打ち合わせに係る費用」です。
会議での飲み物や軽食・お弁当代などは会議費となり、参加者も従業員・社外の方を問いません。
飲食店で打合せや、採用面接を行うこともありますが、飲食はあくまで付随であり、金額が常識の範囲内を超えず、その実態が会議であれば会議費で計上が可能です。
・会議としての実態を備えていること ・金額が社会通念上妥当な金額 |
が重要となりますので、会議が主であることの証明として議事録などを作成・保管しておきましょう。
【会議費に含めることができる交際費】
社外の人との接待等の交際費であっても、下記の要件を満たす場合は交際費から除き、会議費として計上することができます。
(国税庁 No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算 交際費の範囲から除かれるもの)
① 費用が参加者1人につき5,000円以下
② 飲食その他これに類する行為であること
③ 次の要件を満たす事項を記載した書類を保管している
・飲食のあった年月日
・参加した事業に関係ある者の氏名または名称およびその関係
・参加人数
・飲食に要した費用であることを明らかにする事項(飲食費用の金額・店舗所在地・名称)
飲食に要した費用であることを明らかにする事項とは、飲食費用の金額・店舗所在地と名称ですので、レシート・領収書に記載されています。参加した人数と氏名または名称を追記して保管しておきましょう。
接待が1次会だけでなく2次会などの連続した飲食等となった場合、それぞれが別の会場であった等、単独で行われていると判断できれば、それぞれの行為に係る飲食費ごとに1人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行うことができます。しかしながら同じお店で行った場合、連続する飲食は一体であるとの判断に基づき合算して判定します。
【終わりに】
判断に迷う交際費についてご紹介いたしました。
交際費・福利厚生費・会議費は処理の際に区別しにくいですが、交際費は損金算入に限度額があることから、判定は重要になってきます。検討して上手に節税していきましょう。
参考資料
国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm
また、どのような費用だったのかを証明できるように、社内で基準を整備し、費用について利用目的等の必要情報をしっかり記録として残しておくことが大切です。
詳細はぜひOAG税理士法人東京ウエストにお気軽にお問い合わせくださいませ。
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