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◇平成30年度税制改正大綱(その1)
平成29年12月14日に平成30年度税制改正大綱が発表になりました。2月号と3月号で、その内容を特集します。今月号では、所得税の「控除」の見直しについて紹介します。
◇給与所得控除、公的年金等控除及び基礎控除の見直し
1.基礎控除へのシフト
給与収入から差し引ける給与所得控除が一律10万円引き下げられます。国民年金などの公的年金から差し引ける公的年金等控除も同様に、一律10万円引き下げられます。
その代わりとして、所得税の計算で誰もが所得から差し引ける基礎控除が38万円(住民税33万円)から48万円(住民税43万円)に引き上げられ、控除対象配偶者、扶養親族の所得制限も38万円(住民税38万円)から48万円(住民税48万円)に引き上げられます。
年収850万円以下の給与所得者、年金以外の収入がない年収1,000万円以下の年金受給者については、改正後の税金の負担は変わりません。
給与600万円の場合の所得税 <改正前> 給与600万円-給与所得控除174万円-基礎控除38万円=課税所得388万円 <改正後> 給与600万円-給与所得控除164万円-基礎控除48万円=課税所得388万円 ※所得控除は基礎控除のみを考慮 |
なお給与に係る所得と公的年金に係る所得の双方がある場合には、片方に係る控除のみ10万円引き下げになります。
基礎控除が引き上げられますので、自営業者(所得2,400万円以下の者)については減税となります。
※基礎控除は所得2,400万円を超えると徐々に減少し、2,500万円を超えると適用なしに改正されます。
2.給与所得控除の上限額の見直し
給与所得控除の上限となる収入が1,000万円から850万円に、控除額も220万円から195万円に引き下げられます。ただし23歳未満の扶養親族がいる子育て世帯や特別障害者が同一生計である方については、税負担が増えない措置が講じられます。
3.高額所得者に対する公的年金等控除の縮減
現行、公的年金等控除に上限は設けられていませんが、年金収入1,000万円超について、195万円5千円が控除額の上限となります。また公的年金等に係る所得以外の所得の合計が1,000万円を超えると、見直し後の公的年金等控除から更に一律10万円、2,000万円を超えると一律20万円引き下げられます。年金以外の所得の合計が1,000万円を超える年齢65歳以上の年金受給者の場合、年金収入が90万円を超えると改正の影響を受ける可能性があります。
◇青色申告特別控除の見直し
正規の簿記により取引を記録している事業者の青色申告特別控除の控除額が、現行65万円から55万円に引き下げられます。ただし確定申告を申告期限までに電子申告する場合等には、現行と同じ65万円の控除が適用となります。なお10万円の青色申告特別控除には改正がありません。
上記の改正はいずれも平成32年分以降の所得税、平成33年分以降の住民税より適用となります。
(この原稿は、2016年5月の法令に基づき、記載しております。)