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昨今の外国人旅行者の増加、または、2020年に東京オリンピックが開催される事により、一般の個人住宅の空き部屋に観光客を有料で泊める「民泊」が増えることが見込まれ、政府もルールづくりに乗り出す等、普及の動きが本格化しています。
この民泊を税務から見た場合、使われる家屋は人が宿泊・滞在するものだが、居住の用に供するものではない、という解釈により、固定資産税の住宅用地の減額特例が受けられなくなるという問題が浮揚しています。
≪固定資産税について≫
(1) 住宅用地の特例
住宅用地に係る固定資産税については,専用住宅(専ら人の居住の用に供する家屋)の敷地の用に供されている土地については、課税標準額を減額する特例を受けられます。原則,住宅用地に係る固定資産税の課税標準額が「1/3」に減額され、住宅用地が200㎡以下の部分については“小規模住宅用地”として課税標準額が「1/6」に減額されます。
(2) 家屋を民泊に使う前と使った場合との比較
【前提】土地全体の面積:150㎡、家屋(2階建)全体床面積:100㎡
特例適用前の土地の課税標準額:1,800万円
① 家屋を民泊に使う前(住宅用地の特例がある)場合
課税標準額 300万円(1,800万円×1/6)
土地全体の面積が150㎡であり小規模住宅用地の要件200㎡以下を満たすため、1/6に減額されます。
② 家屋一棟を民泊で使用する場合(所有者は居住していない)
課税標準額 1,260万円(1,800万円×0.7(“非”住宅用地の負担調整率(仮))
土地全体の面積150㎡が“非”住宅用地として住宅用地の特例の対象となりません。
民泊に使用することにより課税標準額が4.2倍になります。固定資産税は、課税標準額に税率1.4%を乗じて算出されるため、上記のケースでは負担額が4.2倍となる試算です。
≪自治体の住宅用地の特例の判断について≫
平成28年に京都市では、住宅用地特例の適用を受けていた土地について、民泊で使用された事実が確認できたことにより、取り消しを通知しました。旅館業法等の許可にかかわらず、専用住宅(専ら人の居住の用に供する家屋)を民泊で使用したときは、住宅用地の特例を受けられなくなる場合があります。現在、府中市、調布市、狛江市の地域では、住宅用地の特例の適用が取り消された事実はありませんが、民泊での使用については、今後の動向に注目する必要があります。
(参考:週刊税務通信より)
(この原稿は、2016年5月の法令に基づき、記載しております。)