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◇平成29年度税制改正大綱が発表
平成28年12月8日に平成29年度税制改正大綱が発表になりました。本誌9月号でも取り上げた「年収103万円の壁」への対応など、関心の高い改正内容をピックアップしていきます。
◆配偶者の控除<103万円が150万円に拡大>
妻のパートの給与が103万円以下であれば、一律38万円が控除(配偶者控除)されます。これが主婦の働く時間を抑える要因となっていることから「年収103万円の壁」と呼ばれてきました。今回の改正で、控除が受けられる給与の枠が拡大されます。
給与が103万円を超えても150万円まで、38万円の控除(配偶者特別控除)が受けられます。また給与に応じて控除額は少なくなりますが、201万円(現行141万円)まで一定の配偶者特別控除が受けられるよう見直されます。
一方、納税者ご本人の所得が高くなると、以下のように配偶者控除額が少なくなる見直しも行われます。
①給与1,120万円以下→38万円
②給与1,120万円超1,170万円以下→26万円、
③給与1,170万円超1,220万円以下→13万円
そして給与1,220万円を超えると、配偶者の所得にかかわらず、控除は一切受けられなくなります。
今回の改正は、配偶者の控除が受けられる層は拡大しますが、給与1,220万円を超える高所得者層には増税となります。 平成30年分の所得税から適用される見通しです。
◆タワーマンションの固定資産税の見直し
タワーマンションの購入価格は上層階ほど高くなりますが、固定資産税は階数にかかわらず同額です。そこで20階を超えるタワーマンションの固定資産税も、上層階になるほど高くなるよう見直されます。
具体的には中間の階の固定資産税は現行と同額、階数が1階上がるごとに約0.25%加算され、反対に1階下がるごとに約0.25%減算されます。
40階のタワーマンションの場合、20階と比べて1階は5%下がり、40階は5%上がる計算になります。都市計画税、不動産取得税も同様に改正されます。
この見直しは既に建っているものや、平成29年4月1日前に売買契約が締結されたものには適用されません。平成30年度から新たに課税されることとなるタワーマンションに適用になります。なお相続税・贈与税のタワーマンション節税への対応は示されませんでした。
◆広大地の評価の見直し
面積が1,000㎡(三大都市圏では500㎡)以上のいわゆる広大地の評価方法が、面積に応じて減額率が大きくなる評価方法から、土地の形状と面積を考慮して減額される評価方法に見直されます。また適用要件も明確にされる見通しです。
平成30年1月1日以後の相続・贈与から適用になります。
(※この原稿は、2016年5月の法令に基づき、記載しております。)