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平成27年の贈与の税制改正と、その影響について・2016年(H28年)03月号-03.03

2016年3月3日

平成27年の贈与の税制改正と、その影響について


平成27年は、相続に関連した税制改正が目立った年となりました。そして、一番大きな影響といえば、「相続税の基礎控除額の引き下げ」による相続税の課税対象者の増加が挙げられます。


調布市や府中市、そして狛江市においても相続税の申告・納付が必要となってくる方は増えるものと予想されます。


相続税の正確な申告件数等を地域ごとに調査することは難しいのですが、こちらのサイト(http://www.daiwahouse.co.jp/column/money/20141014135131.html)では、地価等のデータを利用してその予測を実施しています。


上記サイトが検証した結果によると、府中市・調布市・狛江市に関しては、平成26年までは相続税の発生率が20%に満たない地域が大半を占めていたようです。しかし平成27年からは20%の地域や40%の地域がかなり増えていますし、60%の地域も目立つほどです。


もちろん、こちらのデータはあくまでも一種の試算にすぎません。それでも府中市・調布市・狛江市にお住まいの方々にとって、相続税の申告・納税が、今後はとても身近なものになっていく可能性が高いでしょう。


平成26年までの法制度の下では相続税の申告・納付の必要がなかった方も、これからは相続対策の必要性がでてくる方も多いと思います。「相続対策」と書くと、自然と相続税法に注目が集まりますが、昨年の1月から施行された法改正には「贈与」に関する内容も多く含まれています。

将来の相続税を軽減する上では、「贈与」をうまく利用することも大切です。


○贈与税の主な改正内容と、その利用方法とは


贈与税に関して、平成27年の1月1日から施行された主たる改正内容は、以下の通りです。


1.贈与税の税率


贈与においては、年間の基礎控除額が110万円と定められています。年間の贈与額が110万円を超える場合、下記の計算式ように、金額に応じて贈与税が発生します。


贈与税の計算式

(その年分の贈与財産の価額の合計額 - 110万円)× 税率 - 控除額


贈与税の税率は、以下の通り改正されています。

基礎控除後の

課税価格

平成26年まで

平成27年以後

一般

特例(※)

税率

控除額

税率

控除額

税率

控除額

~200万円まで

10%

10%

10%

~300万円まで

15%

10万

15%

10万

15%

10万

~400万円まで

20%

25万

20%

25万

~600万円まで

30%

65万

30%

65万

20%

30万

~1000万円まで

40%

125万

40%

125万

30%

90万

~1500万円まで

50%

225万

45%

175万

40%

190万

~3000万円まで

50%

250万

45%

265万

~4500万円まで

55%

400万

50%

415万

4500万円超~

55%

640万

(注)特例は「直系尊属から、20歳以上の直系卑属への贈与」が該当します。親や祖父母から、成年に達した子や孫への贈与が対象です。


ご覧のように、平成27年の改正では高額の贈与を行う場合の税率が高く設定されています。


ただし親から子へ、または祖父母から孫へ贈与する場合は、全体的に安い税率が適用されます。したがって、子や孫への生前贈与を数年越しで行いたい場合は、これまでより税負担を軽減できることになりました。


2.相続時精算課税の対象


 相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。そして、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降、全てこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。


この制度では、2,500万円まで贈与税がかかりません。贈与した財産が累計で2,500万円を超えると、20%の税率が課されます。

その後贈与者が亡くなると、その贈与財産を含めて相続税を計算します。ただし実際に納付する相続税額は、早めに納付していた贈与税額を差し引いた金額となります(相続税額によっては、贈与税の還付を受けられる可能性もあります)。

この相続時精算課税制度は、一度に高額の贈与を行う場合の税負担の軽減や、将来値上がりが予想される財産を、生前に贈与する場合に利用されます。


 そして、この制度の適用を認められる条件が改正されました。


平成26年まで

平成27年以後

贈与者

65歳以上の親

60歳以上の親・祖父母

受贈者

20歳以上の子

20歳以上の子・孫


ご覧のように、贈与者の年齢が下げられたほか、孫が受贈者となる場合でも認められることになりました。利用条件が拡大されたことで、調布や府中、狛江エリアにおいてもこの制度で効果的な節税を実現できる方が増えるものと思われます。


○税制改正を活用した節税を、適切に実現するために


相続税対策は、相続税だけではなく贈与税の活用にも目を向けることが大切です。そして、贈与税の特例は、今回ご紹介した「暦年課税」や「相続時精算課税」だけではありません。

最適な方法を正確に知るためには、税理士の手助けが必要となります。気がかりなことができた場合は、相続や贈与の手続きに熟練している税理士に問い合わせてみましょう。


(※この原稿は、2016年03月の法令に基づき、記載しております。)

カテゴリ
相続税額 計算 シミュレーション
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