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調布市や府中市、狛江市に限らず、空き家の増加が社会問題と化しています。この状況を解決するために、政府は平成28年度の税制改正で「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」を定めました。
実家で一人暮らしの親が亡くなり、誰も住まなくなった実家を相続した場合は、この制度の利用条件を確認することがおすすめです。条件に該当する場合、今まで実家を売却する際にかかっていた税金が、今後は税負担なく実家の売却ができるかもしれません。
全国の空き家の総数は、総務省の平成25年度のデータによると約820万戸(http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2013/10_1.htm)に達しています。
このような空き家の増加は、東京都内においても顕著です。同じ年の「東京都都市整備局」のデータ(http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_kcs/pdf/h27_05/shiryo_27_05_08.pdf)によれば、調布・府中・狛江エリアの空き家は以下の通りです。
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空き家の総数 |
空き家率 |
調布市 |
約1.5万戸 |
11.9% |
府中市 |
約1.5万戸 |
12.0% |
狛江市 |
約0.5万戸 |
11.5% |
総務省が実施した平成20年の調査(http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_kcs/shiryou_h22_02_03.pdf)では、空き家の総数は調布市と府中市で1万戸以下、狛江市で0.3万戸以下だったと報告されています。僅か5年間で、調布・府中・狛江の3市すべてで空き家が着実に増えている様子がうかがえます。
無人の建物は老朽化がどんどん進行してしまいます。美観が損なわれるだけではありません。害虫やネズミの大発生といった衛生上の問題につながる恐れがあります。また、災害や犯罪のきっかけとなることを危惧する意見も出ています。言い換えますと、空き家が放置されることで、近接する世帯にとっては大きな被害につながる可能性があります。
平成28年の税制改正に「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が盛り込まれた背景には、以上のような空き家をめぐる深刻な事情がありました。空き家やその敷地を売る際の税負担を減らすことで、政府は空き家の処分を促進しようとしているわけです。
○「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の条件とは
この特例では、すべての条件を満たす場合に限り、空き家またはその敷地の売却において最大で3,000万円の特別控除が認められます。
その条件は以下の通りです。
・相続開始の直前まで被相続人しか住んでいなかった住宅で、相続により空き家になっている
・昭和56年5月31日以前に建築されている
(旧耐震基準にもとづいて、建築されている)
・区分所有建物ではない
(マンション等は対象外)
・相続人が、その家屋または更地になったあとの敷地を売却する
ただし耐震性がない家屋を売却する場合は、必要な耐震リフォームを行った上で、家屋と敷地を売却する
・平成28年4月1日~平成31年12月31日の間に売却されている
・相続から3年を経過する日が属する年の、12月31日までに売却されている
・売却額が1億円を超えない
・相続以後、ずっと空き家である
(居住のほか、賃貸や事業等の目的で使用されていたときは、対象外)
・行政から、要件を満たす証明書等が発行されている
(確定申告書に添付して申告する必要あり)
実は、現在ある制度の中に、居住用の家屋を売却したときに3,000万円の控除を受けられる特例があります。しかし相続した家屋は、亡くなった親の居住用の家屋であっても、相続した人の居住用の家屋ではないので、この「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」については適用されず、住まない家屋を相続した場合に、そのまま放置してしまうケースが珍しくありませんでした。
新しく設けられた特例は、条件が多くて複雑です。しかしすべての条件を満たせる場合なら、相続で空き家になった実家を売却する際に大幅な減税を実現できます。
故人が暮らしていた住まいを相続する方はたくさんいらっしゃることでしょう。しかしその家屋に移り住む予定がない場合は、処分の方法を考える必要が生じます。これまでは、売却するとなると高額の所得税がネックになることが多かったのですが、今年からは3,000万円までの控除を受けられます。
条件についてはすでにご説明していますが、その判断を行うには広範な専門知識が必須となります。また、今回ご紹介した特例以外の方法を利用できるケースもあり得ます。相続した空き家について、正確な減税方法を確かめたいときは、税務のスペシャリストである税理士に問い合わせることをおすすめいたします。
(※この原稿は、2016年02月の法令に基づき、記載しております。)